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冥途の道祖神
道祖神(どうそじん)は街道の辻などに祀られている旅人の守神です。その姿態はじつに様々ですがもっとも普通に知られているのは男女のペアが刻まれた石像です。それがお地蔵さんに囲まれているとしたら、なぜ、と石仏ファンならあるいは思うかもしれません。現にここにひとりいます。
野田山墓地の無縁墓地に並べられた石仏群はその多くが地蔵菩薩だがそのなかに観音菩薩と思われる頭部を欠損した石仏がある、ということを昨年末にアップした「無縁墓地の観音様」(「令和7年師走の風景」の中の一文)に書きました。観音石仏が墓地にあっても不思議はないのですがちょっと珍しいと思ったからです。
実はそこにはもっと珍しい石仏がありました。それはそこにあるのがあまりに場違いに思えます。お地蔵さんの群れに混じって道祖神があるのです。地蔵石仏ではない2体の似かよった姿の石像が並んでいて珍しいと思ってよく見るとそれが別々の石にではなくひとつの石に刻まれているいわゆる双体像でした。顔は典型的な道祖神の顔で合掌して座っています。向かって左が右よりやや小さいみたいですがはっきり男女だとは判別できません。また2体は行儀良く並んでいて道祖神に多い男女が手を取り合いあるいは抱擁する意匠ではありません。品がいいと言えば品がいい道祖神です。それなら道祖神ではないのでは。いいえ、仏像でも神像でもない石像が双体像なのだから道祖神と見るのが正しいと思います。時代はわかりませんがかなり古そうです。
2026年5月23日野田山墓地
写真:虎本伸一
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